夏と言えば海や花火、中でも隅田川の花火大会と諏訪湖の花火大会はとても綺麗なんだって。でも話は夜じゃなく昼だから花火も無い。そう今回の話は「なにもかも言える...夏」、でも猛暑日だけは勘弁だ!
著者:上総かんな。


7月のとある平日。

「あっつ〜〜〜〜〜〜〜い!」

少女が大声を出して団扇を扇いでいる。
この日の最高気温は34℃。夏日とかそういう問題ではない暑さだ。
今の気温も30℃と高い。

「こういう日こそ鍋したくなるよね〜。屋上で。」
「ねーよ。」

即座に突っ込まれた。
この教室には今少女が2人いる。
1人はさっきから団扇を扇いでいる少女。もう1人はその近くで雑誌を読んでいた。

「なんでよ〜。『御爺様の遺言で無理矢理女子高に入れられた男子』みたいに言わないでよ〜。」
「それこそねーよ。ってか例えがわかんねぇ。」
「むぅ……。」

さっきから意味不明な言葉を発してる少女は八戸詩歌。それに対してツッコミを入れているのが豊田穂希。2人は彩桜学園の高等部に通っている友達同士だ。

「でさ〜〜……。」
「なんだ?」
「何で、夏ってくるんだろうね……。」
「なぜそれを私に聞く。」
「だってそこに居るから。」
「調べろよ。」
「やだ〜〜。」

詩歌はとてもめんどくさがりだった。
それによって苦労がかかるのは穂希の方だったりするのだが。

「だったらここより南に住んでる人とかどうなるんだ?」
「すごいよね、暑いところは無理だよ私は。」
「まぁね、私も無理だ。」
「そういえば、この学校って雑誌って持ってきてもいいの?」
「さぁ?そんな校則は聞いたことないぜ。」
「よし、じゃあ禁止って事で。」
「勝手にルール決めんなよ。」
「いいんだよ〜。此処では私がルールなのっ」
「いつの時代だよ。」
「ほら、言うじゃない。『お前のものは俺のもの、俺のものは俺のもの』って」
「何処のガキ大将だよ。」
「いや、ガキ大将じゃなくて卵型のしゃべるロボットだよ〜。」
「なんだよそれ。」
「という訳で、風紀シール!ペタリ。」
「貼るな!ってかなんだこのあからさまに気味の悪い色使いは!」
「それは私の手作りなんだよ〜。」
「作るな!」
「え〜。つまんないの〜。」
「詰まんなくて結構。」

一通りのボケとツッコミが終了する。
この暑い日に頭に血が登るようなことをすると余計暑くならないか心配だが、ここは放っておこう。

「それにしても〜。」
「今度はなんだ?」
「いや、木刀で車が斬れたらすごいなぁと思って」
「やけに唐突だな」

詩歌の唐突な話に雑誌を読みながら答える穂希。
確かにこの話の変わり具合には読んでる人にもきついだろう、某ゲームがアニメ化した時の超展開みたいに。

「いや、あったらすごいだけ。」
「まぁな。」
「あと、喋るオウム」
「それは結構いるだろ。」
「そうじゃなくて、何十年前のことを話すオウム。」
「いや、わからんよそれは。」
「穂希ちゃんは無知だね〜。」
「アンタが偏った方角に知識を持ってるだけじゃないのか?」
「そうでもないよ?」
「嘘だな。」
「そう真っ向から否定されるとちょっときついかな?」
「ほらやっぱり。」

そう、詩歌の成績はどちらかというと下から数えた方が早い。ちなみに穂希は平均くらいなのだが。でも今はそんなことは関係ない訳で。

「ではとっておきのネタを教えよう。」
「なんだよ。」
「恋愛シュミレーションゲームの主人公は何故か前髪は長い。」
「そんなこと言われてもわからんぞ。」
「もう1つ、悪友には2種類いる。頭のキレる友人かヘタレの友人だ。」
「いや、だから知らんて。」
「テストに出るかもよ〜?」
「出るかぁっ!!」

勿論、テストとの関係は地球と月くらい離れてるので覚えておく必要はない。
もし月からお姫様が来てもそれは特に関係ないことだ。そのくらい必要はない。

「もう……。そんなことする子は……。」
「な、何だよ。」
「階段の上から物を落としてそれを拾わせてるすきにカッターを落としちゃうから!!」
「意味わかんないけどなんかこええ!!」
「それか、バイオリンっぽいものでフルスイング。」
「いやそれはないから、ってかそういうのはファンタジーの中にしなさい。」
「え〜。これでも私は町の不良たちに勝った経験があるんだよ?」
「そんな噂は聞いたことないぞ?」
「ばれたか。」
「あからさまな嘘をつくからだ。」
「うぐぅ…。」
「今は夏だぞ?」
「がお……。」
「……恐竜?」

意味不明な擬音にも突っ込む穂希。全く律儀なやつである。

「そろそろ帰らない?期末テスト終わったんだし。」
「そうだな、帰るか。」
「もう……ゴールしてもいいよね…?」
「いや、わかんないから。」
「そこは『アカン!…ゴールしたらアカン!!』って言わないと〜。」

ってか最近はほんとに会話が分からないなぁと思う穂希。
無理もない、詩歌が話してるネタは9割近くが18禁恋愛シュミレーションゲームのネタだから。
ってかやっていいのか?16で。という突っ込みは放置しておこう。

「帰るってもどこかよるんだろ?」
「うん。ちょっと本屋に行っていい?」
「あぁ、丁度読みたい雑誌もあるしな。」

そうして詩歌と穂希は教室を出た。ヒグラシが元気よく鳴いている。そろそろ、夏休みが始まる。



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